相続放棄


これから司法書士に相談に行かれる方のご参考になるよう、当事務所で扱った事例を紹介させていただいております。

 

今回は、お問い合わせの多い相続放棄の事例です。

 

相続放棄の申述は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。そのため、スピーディーに準備を進めて、申立をしなければなりません。書類の準備に手間取って期間経過しないように気を付ける必要があります。

 

相続放棄を検討中の方は、実際どのように手続きが進むのか参考にしていただければと思います。

期間制限がありますので、相続放棄検討中の方はお早めに近くの司法書士にご相談されることをお勧めいたします。

 

【相続放棄事例】

 <依頼者>

姉・加藤様(仮名) 40代女性 神奈川県平塚市在住

妹・松本様(仮名) 40代女性 神奈川県小田原市在住

 

<ご相談内容>

「叔父(父の弟)が平成27年1月に他界しました。私たちの父は既に亡くなっています。父と叔父は生前ほとんど付き合いがなく、私たちも叔父や従兄弟とは長い間会っていませんでした。

 

そんな折、突然、6月末に○○債権回収から手紙が届きました。内容は、『被相続人のお子様方が相続放棄をされました。そのため次順位相続人である故○○様の代襲者である加藤○○様と松本○○様が相続人になられました。確認させていただきたい事がありますので、一度ご連絡をいただきますようお願い致します。』でした。

 

全く訳が分からず困りました。従兄弟たちから相続放棄したとの連絡はありませんでしたので、突然の債権回収会社からの手紙には本当に驚かされました。

 

そもそも叔父一家とは付き合いもありませんし、手紙によるとどうやら借金があるようなので、私たちも相続放棄したいと考えています。」

 

<当事務所にご相談、ご依頼いただいたきっかけ>

インターネットで近くて信頼できそうな司法書士を探していたところ、こちらの事務所のホームページを見つけてお問い合わせ下さったそうです。

 

また、当事務所が債務整理も取り扱っていることから、万一相続放棄ができなくても、借金問題の相談にも乗ってもらえると思ったからだそうです。

 

<依頼の経過>

平成27年7月上旬 当事務所にご相談で来所、相続放棄申述書類作成の受託

被相続人や相続人についての氏名や住所、本籍、連絡先等を確認し、相続財産の内容を聞きました。被相続人は賃貸アパートに住んでいたとことで不動産は持っていないとのことでした。

また、被相続人一家との交流の有無や、債権回収会社からの手紙についても確認しました。

 

手続に必要な戸籍謄本等は当事務所ですべて取得してもらいたいとのことでしたので、当事務所で手配いたしました。

 

また、当事務所より○○債権回収に電話連絡し、加藤様(仮名)及び松本様(仮名)が相続放棄申述予定であることを伝えました。

 

平成27年7月下旬 横浜家庭裁判所に相続放棄申述書類を提出

戸籍謄本等がすべて揃い、加藤様(仮名)及び松本様(仮名)に相続放棄申述書や上申書(債権回収会社からの請求についての経緯等を説明したもの)に署名押印いただき、横浜家庭裁判所に相続放棄申述書類を提出しました。

 

平成27年8月上旬 照会書の送付、提出

横浜家庭裁判所から加藤様(仮名)及び松本様(仮名)にそれぞれ「照会書」が送られてきました。

照会書とは、相続放棄の申述をすると確認のために裁判所から申述人に送られてくる書類のことです。手続きを司法書士に依頼した場合であっても、本人の意思確認のため司法書士ではなく直接本人の所に送られてきます。

私とともに照会書に記入していただき、速やかに裁判所に提出して頂きました。

 

〔照会書の例(裁判所や内容によって異なります)〕 

(期間内)

申述人 加藤○○様

平成27年8月○日

横浜家庭裁判所家事部相続放棄○係

TEL ○○○-○○○-○○○○ 内線(○○○○)

裁判所書記官 ○○○○ 印

 平成27年(家)第○○○○○号相続放棄申述事件について、審理のために必要ですので、下記の回答書の該当番号に○印を付して、必要事項を記入し、署名押印の上、至急(本書面受領後7日以内)に返送して下さい。

注意1 各欄の余白が不足するときは、適宜の用紙で補充してください。

   2 不明な点があるときは、担当書記官あてに問い合わせください。

【御連絡】相続放棄の申述について弁護士・司法書士に依頼されている場合も、直接申述人の方に御事情を伺っていますので、よろしくお願いいたします。

回答書

1 あなたは、被相続人○○○○さんとどういう身分関係にありますか。

  被相続人の、(例 あなたが、被相続人の子供であれば、「(2)子」を選択)

  (1)配偶者 (2)子 (3)親(父・母) (4)祖父・母 (5)兄弟姉妹 (6)甥・姪 (7)孫

2 被相続人の死亡をいつ知りましたか。

  (1)被相続人の死亡の日に知った。 (2)平成  年  月  日に知った。

3 被相続人の死亡を知ったのはどういう経緯からですか。

  (1)死亡の場所に立ち会った。

  (2)(         )さんから被相続人死亡の連絡を受けた。

  (3)債権者からの通知で初めて知った。

4 あなたは、相続が開始したのをいつ知りましたか(自分が相続人になったことをいつ知りましたか。死亡を知った日とは限りません。)。

  (1)被相続人の死亡の日。

  (2)平成  年  月  日被相続人の死亡を聞かされて。

  (3)先順位者が相続放棄をしたため平成  年  月  日知った。

  (4)被相続人の債権者から平成  年  月  日催告があって知った。

    (※この場合には、債権者からの通知書等の写しを添付してください。既提出の場合を除く。)

  (5)その他(具体的に書いてください。)

5 被相続人には、何らかの遺産がありますか(プラス及びマイナスの遺産を含む)。把握している範囲で回答して下さい。

  (1)ある 農地・・・・・約        平方メートル

        山林・・・・・約        平方メートル

        宅地・・・・・約        平方メートル

        建物・・・・・約        平方メートル

        現金、預貯金・約        万円

        有価証券・・・約        万円

        負債・・・・・約        万円

  (2)ない  (3)わからない

6 被相続人死亡から本件申述まで、被相続人の遺産を貰ったり、費消したりしたことがありますか。(ある場合は、通帳や領収書の写しを添付してください。)

  (1)ない。

  (2)ある。・・・いつ(        )・何を(        )

          どうした(                     )

7 本件申述をした理由は何ですか。

  (1)自分の生活が安定している。     (2)遺産が少ない。

  (3)他の者(        )に資産を継がせたい。

  (4)債務超過(債務の額・・         円程度)

  (5)被相続人から既に遺産を貰っている。

  (6)その他(                           )

8 本件申述は、あなたの真意に基づくものですか。

  (1)はい    (2)いいえ

9 申述書の署名、押印はあなたがしたものですか。

  (1)はい (2)いいえ  (3)(        )に頼んでしてもらった。

10 本件申述が受理されると、被相続人の遺産は何も取得できませんがいいですか。

  (1)はい (2)いいえ

11 被相続人との生前の交流状況、被相続人の債務の存在を知った状況等、参考になることがあれば具体的にお書きください(特になければ記載は不要です。)。

 

上記のとおり回答します。

平成  年  月  日

住所

電話(自宅)

携帯電話

氏名                   印

 

 

 

平成27年8月中旬 相続放棄申述受理通知書が到着

横浜裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きました。

債権者へ提出する「相続放棄申述受理証明書」が必要なので、裁判所に請求しました。

 

平成27年8月中旬 相続放棄申述受理通知書の送付

当事務所より「相続放棄申述受理証明書」を○○債権回収に送付し、相続放棄の手続きが完了したことを伝えました。

また、加藤様(仮名)及び松本様(仮名)にもそれぞれ相続放棄申述受理通知書及び相続放棄申述受理証明書を送付してご依頼いただいた手続きが完了しました。

 

<ご依頼を振り返って>

お二人とも無事にお手続きが終わり、ほっとされていてこちらも嬉しかったです。

 

相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならず、迅速に手続きを進めることが重要です。ご自分で手続きすることも不可能ではありませんが、古い戸籍謄本等の収集は非常に手間で難しい作業です。

 

司法書士に手続きを依頼すれば、戸籍謄本等の必要書類の取得、裁判所提出書類の作成、裁判所への提出も全て司法書士が行いますので安心です。照会書への記入も司法書士と相談しながら行いますので、意味が良く分からず間違った回答を記載してしまう心配もありません。

 

<加藤様(仮名)からのメッセージ>

お世話になりました。

今回、債務者から手紙が来てネットで調べましたが、司法書士さん?弁護士さん?相続放棄専門?って放棄できなかったらお金を返すだけでそのあとのことが書いていないのです。ネットを見てるだけで悩みます。

 

大野さんのホームページを見て若いけど実績もあったし、債務整理のことも書いてあったので、放棄できなかったらどうするか?相談できるのではないかと思いました。

 

おととい妹と母に会ったのですが、終わってよかったと言ってました。

本当にありがとうございました。

 

またお世話になるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。

まだまだ暑い日が続きますが、体調には気を付けてがんばってください。