※この記事は2019年現在の情報に基づいています。
遺言には色々な作成方法があります。せっかく作った遺言が無効にならないように、また、後日の紛争を出来るだけ防ぐために、安全確実な公正証書遺言をお勧めしています。司法書士による自筆証書遺言作成のアドバイス、添削等も可能です。
当事務所では、安全性、確実性、コスト、手軽さ、秘密性、遺産の内容、家族関係などを考えて、より良い方法をご相談させていいただきます。慌てて作るよりも、落ち着いて考えながら納得できるものができるよう、早めに準備されることをお勧めします。
遺言にはいくつか種類があります。まず大きく分けて、通常の「普通方式」と通常の方式では困難な場合の「特別方式」があります。
1、普通方式の遺言
普通方式の遺言は、通常時に作られるものです。一般的に遺言と言えば、特に断りがない限り普通方式の遺言になります。普通方式の遺言は、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。
①自筆証書遺言
自分で全文を手書きする遺言です。
<メリット>
証人が不要ですし、コストもかかりません。書いたあとも自分で保管しておけば良いので、いちばん手軽な方法です。
<デメリット>
法律のプロが関与しないので、方式に不備があると無効になってしまいます。偽造や改ざん、紛失の危険もあります。遺言者が亡くなったあと、家庭裁判所の検認手続きが必要です。内容に曖昧な点があると、後日相続人間で紛争になるおそれがあります。全文を自署しなければならないので、手が不自由だと使えません。代筆やパソコンで作成した遺言は無効です。
②公正証書遺言
証人2人以上の立ち会いの下で、公証役場で公証人に遺言を作成してもらう方法です。
<メリット>
法律のプロが関与するので、方式不備で無効になるおそれがなく、曖昧な内容の遺言も防ぐことが出来ます。遺言の作成後は、遺言書の原本が公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの心配がありません。一番安全で確実な遺言です。遺言、者の死後、家庭裁判所の検認手続きが不要になるので、相続人の手続きも少なくなります。
<デメリット>
証人には遺言の内容が知られてしまうので、秘密にしておくことは出来ません。公証人の費用がかかるというのもデメリットです。
③秘密証書遺言
本人が遺言を作成し、封印したものを公証役場で公証してもらう遺言です。証人2人以上の立ち会いが必要です。
<メリット>
遺言の内容を見られることはないので、内容を秘密にしたい場合には良いです。封書に公証人による記載がされるので、改ざんの心配がありません。
<デメリット>
遺言書の作成は、本人が行うため方式不備で無効になるおそれがあります。費用もかかります。遺言者が亡くなったあと、家庭裁判所の検認手続きが必要です。
2、特別方式の遺言
病気や遭難などで死期が迫っている場合に認められる特殊な遺言です。特別方式の遺言は、危急時遺言と隔絶地遺言があります。なお、遺言作成後、普通方式による遺言が可能になってから6ヶ月生存すると、遺言の効力が消滅するので、新たに普通方式による遺言を作成する必要があります。
(1)危急時遺言
危急時遺言は、①一般危急時遺言、②難船危急時遺言の2種類があります。
①一般危急時遺言
一般危急時遺言は、病気やケガにより死期が迫っている状況で作成する遺言です。証人3人以上の立ち会いが必要です。本人が証人に内容を口頭で伝え、証人が遺言を書きます。推定相続人等の関係者は証人にはなれません。また、作成後20日以内に家庭裁判所で確認手続きを行う必要があります。
②難船危急時遺言
飛行機などで遭難し、死期が迫っている場合に作成します。証人2人以上の立ち会いが必要です。作成後、すみやかに家庭裁判所の検認手続きが必要です。
(2)隔絶地遺言
隔絶地遺言は、①一般隔絶地遺言、②船舶隔絶地遺言の2種類があります。
①一般隔絶地遺言
伝染病などで隔離されているときに、警察官1名と証人1名以上の立ち会いで作成します。
②船舶隔絶地遺言
船の中にいて、一般の人連絡が取れないときに、船長か事務員1人と証人2名以上の立ち会いで作成します。
(2019年現在の法律を元に記載しています)
遺言書がある場合は、相続手続きは原則として遺言の内容に従って行うことになります。
まずは遺言が残されているかどうか確認します。遺言の存在を聞かされていなくても、自宅の机の引き出し、金庫などに残されていることがあります。念入りに探してみます。
公正証書遺言を作成していた場合は、遺言者に交付された公正証書遺言(正本・謄本)を紛失していても、原本が公証役場に保管されています。最寄りの公証役場で検索することが可能です。
請求できる人 相続人など
必要書類 遺言者の死亡を証明する除籍謄本、請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本、請求者である相続人の本人確認資料
費用 遺言検索は無料ですが、閲覧・謄本の請求には手数料がかかります。閲覧・謄本の請求は、遺言を作成した公証役場でのみ可能です。
遺言書(公正証書以外)の保管者又は発見者は、遺言書を家庭裁判所に提出し、検認手続きをしなければなりません。
遺言書が封印されている場合は、相続人等が開封することは出来ません。家庭裁判所で相続人等の立会いの上で開封することになります。
検認手続きとは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせ、遺言書の状態、内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する訳ではありません。ですので、検認を受けたからといって、遺言が有効であるとは限りません。
裁判所に申立(遺言者の最後の住所地の家庭裁判所)
↓
裁判所から検認期日の通知
↓
裁判所で相続人など立ち会いの下で遺言書の開封・検認
↓
検認済み証明書の申請・受領
必要書類(相続人が子供の場合)
1,申立書
2,遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
3,相続人全員の戸籍謄本
4,遺言者の子(及びその代襲者)が死亡している場合,その子(及び代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
申立人は検認期日に、遺言書、印鑑等を持参します。
なお、検認期日には相続人が全員出席していなくても構いません。申立人が遺言書を提出し、出席した相続人などの立会のもとで開封し、検認します。
検認済みの証明書付きの遺言書を使用して、不動産・預貯金などの名義変更や解約などを行うこととなります。
当事務所では、遺言の検認、不動産の名義変更(相続登記)などの相続手続きを行っています。戸籍謄本などを何通も集めて、申し立てする手続きはかなり煩雑です。お困りの場合はお気軽にご相談下さい。
(自署によらない財産目録の添付)
平成31年1月13日に施行されました。
1,改正の概要
今まで自筆証書遺言を作成する場合には、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自書し、押印しなければなりませんでした。しかし、今回の改正で、例外的に、自筆証書に相続財産の目録を添付するときは、その目録については自書しなくてもよいことになりました。
財産目録を添付する場合は、遺言者は、その財産目録の各ページに署名及び押印をしなければなりません。
2,財産目録とは
今までは全文を自署しなければならないので、財産が複数あるときは書くのが大変でした。
これまでの遺言の一般的な例
1.遺言者は、妻○○に対して次の不動産を相続させる。
(1)所 在 ○○市○○町1丁目
地 番 1番1
地 目 宅地
地 積 100.00㎡
2.遺言者は、長男○○に対して次の預貯金を相続させる。
○○銀行○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
3.遺言者は、長女○○に対して次の預貯金を相続させる。
○○銀行○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
今回の改正で、多数の財産について遺贈等をする場合には、財産目録を添付することで自署の負担が減ることになりました。
財産目録を添付した遺言書の例
1.遺言者は、遺言者の所有する別紙目録第1記載の不動産を、長男○○(○年○月○日生)に相続させる。
2.遺言者は、遺言者の所有する別紙目録第2記載の預貯金を、次男○○(○年○月○日生)に相続させる。
3.遺言者は、上記1及び2の財産以外の預貯金、有価証券その他一切の財産を、妻○○(○年○月○日生)に相続させる。
など
3、財産目録はどのような形式になるのか
署名押印があれば、それ以外には特に決まりはありません。例えば遺言者がパソコンで作成しても良いです。不動産には登記事項証明書(登記簿謄本)を財産目録として添付し、預貯金については通帳の写しを添付することもできます。
署名・押印は全ページについてしなければなりません(両面の場合は両面に必要)。
4、財産目録の添付の仕方
「一体のものとして」添付しなければならないと規定されています。「一体のものとして」が何なのかという具体的な決まりはありません。しかし、後日の紛争を防ぐために(例えば偽造、差し替えが疑われてトラブルになる可能性があります)、遺言書本文と別紙の財産目録を一緒に綴じて、契印するのが確実です。さらに、登記簿謄本を添付する場合には、一体性を示すために、遺言の作成日付の少し前の発行日の登記簿謄本を添付するのが確実です(日付がかけ離れていると、差し替えを疑われるおそれがあります)。
5、自書によらない財産目録の訂正
自書による部分の訂正と同様です。遺言者が変更の場所を指示し、変更した旨を付記してこれに署名し、かつ、その変更の場所に押印しなければなりません。
6、自署によらない財産目録は便利なのか
確かに、財産が複数あり、A財産を○○に、B財産を○○に・・・等と指定する場合には、財産目録が自署によらないで作成できれば便利になります。全文自署の場合は文字数が多いと間違える可能性がありますし、そもそも書くのが大変です。
ただ、財産目録をパソコンで作成したとしても、不動産の表示などの財産の内容が正確でなければなりません。また全ページに署名・押印が必要なので、枚数が多い場合は煩雑になります。
やはり安全、確実に遺言を作成するには、公正証書遺言の方が良いのは今までと変わりありません。
お子さんを初めとする相続人の方々が相続財産を巡りいがみ合う姿、疑心暗鬼に陥る…
何とも悲しいことです。
でも、これはテレビの中の世界でだけ起きていることではなく、現実に起きていることなのです。
そして、財産の大小にかかわらず起きているのです。
遺言さえあれば…
まさにご自分のため・ご家族のための大切な書面なのです。
うちは大丈夫、と高をくくらないで下さい。
相続トラブルは取り返しのつかない争いに発展しかねません。
ご自分のため・ご家族のために、
また、遺言(遺言書)を残していない方がお知り合いにいらっしゃいましたら、
是非お気軽にご相談・お問合わせください。
被相続人の遺言があった場合、相続財産の分割は、原則として、その遺言にしたがうことになります。
遺言が最優先されるということです。
遺言は、被相続人が亡くなる前に、被相続人自身が行う行為です。
それに対し遺産分割協議(後述)は、被相続人が亡くなった後に相続人全員が行う行為です。
遺言を作成しておけば、「誰にどれだけ相続させる」というように、遺言者の意思が反映された財産の配分を行うことが可能になります。
ただし、その際は、遺留分(後述)に注意する必要があります。
遺言の作成方法については法律で定められていますが、ここでは代表的な二つの遺言について説明します。
遺言者が公証役場(注1)で証人(注4)二人の立会のもと、公証人(注2)の面前で、遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が遺言者の真意を文章にまとめ、遺言とするのが公正証書遺言です。
公正証書遺言は、正本が遺言者に交付され、原本は公証役場に保管されますので、遺言者にとっては安全確実な遺言といえるでしょう。
また、後に述べる自筆証書遺言と異なり、相続開始後の家庭裁判所の検認(注3)は不要です。
されに、言語障害をお持ちの方、聴覚障害をお持ちの方が遺言する場合でも、特別な方法(通訳人の通訳)によって、遺言をすることができます。
私がお薦めしている遺言はこの公正証書遺言です。
やはり安全確実に越したことはありません。
公正証書遺言を作成したい
公正証書遺言について聞いてみたい
どんなことでも構いません。お気軽にお尋ね下さい。
注1 公証役場
公証役場は公証人が執務するところで、全国で約300か所あります。
注2 公証人
公証人は、実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員で、公証役場で執務しています。
注3 検認
遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
注4 証人
民法に定められているとおり、公正証書遺言を作成するには、証人2人が公正証書遺言の作成当日に立会うことが必要となります。
これは、証人が遺言者に人違いがなく、正常な精神状態のもとで自分の意思に基づき遺言の趣旨を公証人に口授していることを確認することと、筆記した遺言者の口述の正確なことを確認したうえ、これを承認することで遺言者の真意を確保して、遺言をめぐる後日の紛争を未然に防止することにあります。
なお、この証人についても当事務所にて手配させて頂きますのでご安心下さい。
遺言者が紙に自ら遺言内容の全文を書き、日付、氏名を書いて押印することにより作成する遺言です。
これは必ず「自筆」しなければならず、ワープロ・パソコンで作成することはできません。
自筆証書遺言は、自分で書けばよいのですから費用もかからず、いつでも書くことができますが、法律的に不備な内容となる危険性がある、後に紛争となったり、無効となったりする場合もあります。
せっかくお書きになった遺言が無効だった…
このようなことにもならないために遺言作成の際には私にご相談いただければと思います。
自筆証書遺言は、遺言を発見した人が家庭裁判所に持参し、相続人全員を呼んで、その遺言書を検認する必要があります。また、訂正の方法も法律で定められていますので、書き間違いなどが生じた場合は、書き直すほうがよいでしょう。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
形 式 | 不備なく行える | 方式の不備や内容が不明確になりがちで、後日のトラブルを招きやすい |
保 管 | 偽造・紛失がない |
偽造・隠匿されやすく、保管場所に気をつけないと、見つからないこともある |
家庭裁判所 | 検認:不要 | 検認:必要 |
手 数 料 |
公証人に支払う |
不要 |
証 人 | 必要 | 不要 |
備 考 |
自宅や病院に公証人を呼ぶことも可能です |
方式不備等によって遺言が無効にならないよう、遺言を書く前は、専門家である私にご相談ください |
そんなことはありません。
気持ちが変わったり、事情が変わったりして、遺言の内容を変えたいと思うことがあるでしょう。
一度書いた遺言は、いつでも取り消すことができますし、書き直すこともできます。
すでに遺言は書いたのだけれど、取り消したい
少し気が変わったので、書き直したい
そのような時もお気軽にご相談下さいますようにお願い致します。
遺言でできることは法律で定められていますが、そのいくつかを説明します。
先日遺言の相談をいただきました。
銀行から遺言作成をしつこく勧められらので、気になってお問合わせ下さったそうです。
「将来自分が亡くなったら、こういう内容で相続して欲しい」と考えている場合、遺言を作っておいた方が良いです。
例えば遺言内容を子供達に話して口頭で承諾を得ている場合であっても、実際に相続手続きの段階でその通りにスムーズに行くとは限りません。
また、自筆証書遺言では、家庭裁判所の検認手続きが必要になりますが、公正証書遺言は検認が不要ですので、遺言を作るのであれば公正証書遺言にしておくのがお勧めです。
公証役場に行くのは面倒、費用もかかるしそこまではしたくない、という場合であれば、自筆証書遺言を作っておくだけでももちろん良いとは思いますが、やはりお勧めは公正証書遺言です。
どうしても自筆証書遺言をおつくりになるのであれば、自筆証書遺言は全文を自分で手書きしなければならず、法律に従った方法でないと無効になる可能性がありますので、司法書士に相談の上チェックをしてもらうことをお勧めします。
ご自分のため・ご家族のために、
また、遺言(遺言書)を残していない方がお知り合いにいらっしゃいましたら、
是非お気軽にご相談・お問合わせください。
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